概要
「春日の婿押し」は、前年中に結婚した新郎新婦を祝福する行事で、
成人の日の前日の夜に45歳以下の氏子で
組織された「三期組合」の人たちを中心に行われる行事である。
起源
起源には諸説があるが、1586年に兵火にかかり、
文書や記録が全て焼失してしまったため、今となっては起源説の正誤は
判別できないが、現在まで春日の婿押しが伝承し続けていることから、
地域にとって非常に親しみ深い行事であることは確かである。
価値
地域で愛されていることはもちろん、
昭和51年(1976年)に県無形民族文化財指定を、
平成8年(1996年)には国指定の重要無形民俗文化財指定を受けるなど、
地域だけでなく、国として守っていくべき祭り・伝統であると
認定を受けている。
婿押しの流れ
婿押しは、午後7時15分の左義長(さぎちょう)への点火から始まる。
子供たちによる樽せり(樽の奪い合い)が終わると、花婿の挨拶、
花婿と花婿抱きの盃などの一連の「宿の行事」が行われる。
その後、花婿を含む氏子たちが裸になり、神宮の前で御祓いを受け、
御池での樽せりへと移行。
その中でもみ合ううちに割られた樽の一片を手にした人がこれを神棚に
供え、五穀豊穣と開運を祈願する。
樽せりが終わると、春日川へお汐井(おしおい)取りに行き、
その帰る足で一斉に拝殿に駆け上がって参拝。
花婿を中心に祝唄を唱和しながら、全員でおしくらまんじゅうのように
拝殿の中でもみ合う。
最後に左義長周辺に戻り、神前に供えた「若水」を花婿に注ぎ
祝福する。
婿押しが終わると、左義長の周りで手打ちとして、終了となる。